ペットブームの高まりとともに、違う種類のペットを一緒に飼う人も増えつつあります。
犬や猫と一緒に猛禽類のフクロウや爬虫類、フェレットなど、最近人気のある動物も一緒に飼いたい!という人が私の周りにも多くいます。
特に、
猫とハリネズミ一緒にを飼いたいけど大丈夫なの?
という相談を、ここ数年の間、何度となく受けています。
結論から言うと、ハリネズミと猫は一緒に飼うことができます。
しかし注意しないと、一緒に飼ったことを後悔することになるかもしれません。
この記事では
・ハリネズミと猫を一緒に飼う時に注意するポイントが知りたい
・ハリネズミと猫のトラブルを事前に予防したい
という方に役立つ情報を解説しています。
知らなかったばかりに、せっかくのペットライフにヒビが入ってしまうこともあります。
最悪の場合、どちらも手放さなければならないことも…。
この記事を最後まで読むだけで、ハリネズミと猫を快適に飼えるようになるはずです。
1つ1つ確認して、快適なペットライフを送ってくださいね!
ハリネズミは猫に襲われることがある?
「猫も好きだしハリネズミも好き!」という方は一度ならず考えたことがあるかもしれません。
ハリネズミと猫は一緒に飼えるのかー。
答えは半分「YES」で半分「NO」です。
ハリネズミと猫は一緒に飼うことができるし、実際に一緒に飼っている方はたくさんいます。
SNSでも猫とハリネズミが、仲良く遊んでいる写真や動画が投稿されているのを目にしますよね。
でも当然ですが、すべてのハリネズミと猫が仲が良いわけではありません。
もともと、自然界の生存競争の中では猫とハリネズミは「捕食する・される」の関係にあります。
猫がハリネズミを襲っても、少しも不思議ではありません。
でも幸いにもこれまで、「飼っている猫がハリネズミを襲って死なせてしまった」という話は、一度も聞いたことがありません。
じゃれあったりちょっと喧嘩をしてお互いに怪我をしてしまうことはありますが、猫が本能むき出しにしてハリネズミを襲って殺してしまったという残酷な話は、恐らく、あっても稀でしょう。
ハリネズミと猫の相性を優先して
でもここですぐに「じゃあうちでも飼ってみよう」と即断するのはNGです。
あくまで「お互いの相性」が大事だってことを忘れないでください。
人間だって相性が大切なのは言うまでもありません。
野生のハリネズミにとって、猫(ヤマネコ)は“天敵”なのは間違いありませんが、相性が良ければ一緒に飼うことは十分に可能です。
ハリネズミと猫を一緒に飼う時に気をつけたいポイント
猫を飼っている時に、新しい同居人としてハリネズミを迎え入れる、あるいはその逆のパターンもあると思いますが、そんな時に、まずはお互いの反応や相性をしっかりと見極めてください。
「顔合わせをしたら早速バトルを始めた」
「ハリネズミが針を全開に逆立ててフシュフシュ怒りながら辺り構わず八つ当たりをし始めた」
などなど、明らかにお互いを敵とみなしてけん制しあうようだったら、ちょっと相性は良くないと判断した方がいいかもしれません。
お互いの存在を確かめ合い、敵か味方かを判断し、だんだん心を許すようになれば、仲良く共存共栄できるようになる日は遠くありません。
でも相性が良いからといって、それで万事OKとはいきません。
注意したいこと、気を付けたいことがいくつかあるので是非、確認しておきましょう。
ダニによる皮膚病に注意
何といっても一番怖いのは病気です。
特に皮膚病はハリネズミがかかりやすい病気のトップとも言えるくらい、よくある病気として知られています。
ペットショップで売られている時点ですでに皮膚病にかかっているケースもあります。
その皮膚病の原因はおもにダニ。
中でも最も多いのがヒゼンダニという名前のダニだと言われています。顎の付近に2対の前脚と胴体の後ろに2対の後脚、合計8本の脚を持つダニです。
猫と一緒に飼う場合、気を付けないといけないのが猫からハリネズミにダニがうつることによってかかる皮膚病(疥癬といいます)です。
そして、猫からハリネズミにうつるダニのほとんどがまさにこの「ヒゼンダニ」と言われています。
ヒゼンダニが寄生して疥癬にかかると、ハリネズミには次のような症状があらわれます。
●激しいかゆみがある
●よく針が抜ける
●脱毛が見られる
●背中やお腹にフケやカサブタができている
ひどくなると、食欲不振になることもあります。
高温多湿の環境で飼うことで猫からハリネズミにダニがうつるケース、そして外に放し飼いにした猫にダニが寄生してハリネズミにうつるケースなど、様々なケースが想定されます。
そのため、ハリネズミと猫を一緒に飼う場合、まずは猫にダニが寄生していないかどうか確認しておく必要があります。
■猫にダニが寄生していないか確認する方法■
①自分自身の目で確認する
ヒゼンダニは皮膚の角層に潜り込んで寄生するため、激しいかゆみを伴います。
飼っている猫がしきりに体を掻いている場合は、このヒゼンダニが寄生している可能性があります。
かゆさのあまり掻きむしってしまい脱毛したり、赤い発疹が出たり炎症を起こしたりすることもあります。
ミミヒゼンダニは耳に寄生することで、黒い耳垢が溜まってきます。
②動物病院で確認する
獣医さんにダニが寄生しやすい部分、耳や頭、お腹、しっぽなどを丹念に見てもらいましょう。
そこでもしダニが見つかれば、ダニの駆除薬を投与してもらい、猫に完全にダニがいない状態でハリネズミと同居させるようにしてください。
市販の薬は猫用のダニの駆除薬より安価というメリットがありますが、確実な効果を期待するなら動物病院で処方してもらうことをおすすめします。
錠剤の場合、副作用が出る場合もあるため、獣医さんとよく相談の上で服用させましょう。
猫から受けるストレスに注意
ハリネズミの性格は、本来臆病で警戒心が強いと言われています。
初めて置かれた環境、初めてかぐ臭い、初めて見る餌など、これまで未経験のものに遭遇すると警戒心を強めて、寝床に閉じこもったり、逆に攻撃的になったりもします。
ハリネズミがどのような性格かは個体によって違うため、一概にこうだとは言えません。
そのため、猫と同居させてもストレスをあまり感じないタイプであれば問題ありませんが、臆病で警戒心の強い性格を持っていれば、初めのうちはストレスを感じてしまうかもしれません。
仲良くなってもらおうと、最初から長い間、同じ時間を一緒に過ごさせるのではなく、最初はほんの接触程度にして、徐々に時間を長くしてお互いに慣れさせることが大事になってきます。
ハリネズミはストレスが強くなってくると、食欲不振になり好きなごはんも食べなくなってしまいます。
栄養不足は細菌へ感染したり、病気にかかる大きな要因になります。
できるだけ猫からストレスを与えられないように、少しずつ慣れさせるようにしましょう。
猫との喧嘩に注意
まだハリネズミと猫がお互いに慣れる前から、長時間、同じ時間を過ごさせてしまうと、どちらも警戒心を強めて喧嘩に発展しないとも限りません。
当然、ハリネズミより猫の方が体格が大きいので、喧嘩をすればハリネズミのほうが分が悪いのは目に見えています。
ハリネズミに針があると言っても、それは背中だけで、頭やお腹には防御するための針がありません。
猫は当然そこを狙ってきて、ハリネズミは大怪我をすることになります。
最初のうちは、目の届かない場所でハリネズミと猫を一緒にしないことです。
お互いに慣れてくるまでは、常に気を配って見守ってあげましょう。
ハリネズミと猫のトラブルを予防する方法
動物好きな方の中には、いろいろな動物を一緒に飼ってみたい!と思うこともあるでしょう。
特に猫もハリネズミも人気のある動物なので、一緒に飼いたいと考えている方は意外とたくさんいます。
それでは、ハリネズミと猫を一緒に飼うに当たって、どのような点に気をつければ事前にトラブルを予防することができるのでしょうか?
性格や習性をよく理解する
まずは、私たち飼い主が飼っているハリネズミや猫の性格を把握しておくことです。
「この子は臆病だから大人しい性格の子が合うかな」
とか、
「この子は気が強いから攻撃的な性格の子とは合わないかな」
と、ペットショップの店員さんやかかりつけの獣医さんなど、専門知識を持っている人などに相談しながら決めるといいでしょう。
またハリネズミは生後半年ほどで成熟し、発情期を迎えます。
そういう時は気が立っているので、新しい仲間が加わってくると攻撃的になることがあります。
なるべく穏やかな精神状態の時に猫を迎え入れるようにしましょう。
ハリネズミを放し飼いしない
ハリネズミをケージに入れずに室内で放し飼いにしている飼い主さんもいると思います。
外出中や料理中など、目を離している間に喧嘩をはじめたりじゃれあっているつもりでも、体の大きな猫がハリネズミを怪我させてしまうということも考えられます。
必要な時以外は、ハリネズミをケージに入れ、遊ぶ時間になったら室内に放して目の届く範囲で猫と遊ばせるようにしましょう。
猫の餌を与える時は一工夫して
猫と一緒に飼っていると、ついハリネズミにもキャットフードをあげてしまう飼い主さんもいるかも知れません。
基本的にはハリネズミもキャットフードを食べることができます。
ただし注意しないといけないことは、キャットフードには脂肪分が多く含まれている場合が多いこと。
そのため、ハリネズミがキャットフードを食べ続けると肥満になるリスクが高くなります。
猫と同じようにキャットフードを食べさせる場合、肥満用のダイエット食であるかシニア用の低脂肪のものであるかを確認してください。
また、キャットフードをそのままあげると、ハリネズミにとっては一粒一粒が大きいことがあります。
ハリネズミ用に小さく刻んであげたり、水にふやかして柔らかくしてあげるなどの気配りも必要になってきます。
猫を外出させない
猫のダニ(主にヒゼンダニ)がハリネズミに寄生して皮膚病(疥癬)にかかることがあります。
猫を外に放し飼いにしていると、他の猫と接触することでダニが寄生したり、草むらに隠れているダニが寄生したりすることがあるので、できるだけ猫を外出させずハリネズミにダニをうつさないことが大切になります。
万が一猫が外に出て帰ってきたときに、しきりに掻いている様子が見られたらダニが寄生していることを疑って、ハリネズミと接触させないようにしましょう。
病院などで、できるだけ早く猫のダニを駆除することが大切です。
病院でダニを駆除してもらう場合、費用はおおむね3000円ほどです。
ハリネズミと猫が共に快適に暮らしていくための必要な費用だと考えて、しっかりと対策をとっておきましょう。
まとめ
ハリネズミと猫は、体の大きさも生息地も種も異なる動物のため一緒に飼ってはいけないように思われがちです。
ここまで見てきたように、ハリネズミと猫は相性さえ悪くなければ、一緒に飼うのはそれほど困難ではありません。
ただし、お互いの性格や習性を理解し、お互いの病気をうつしたり無用なトラブルを招かないように、飼い主さんのほうが気を配る必要があります。
特にまだ飼い始めの時は、目を離さず何かあればすぐに対応できるように準備しておくことも大切になります。
その点さえ心がければ、動物たちとの生活がこれまでより2倍3倍と楽しいものになっていくはずですよ。