ハリネズミの針は多い子で毎日10~20本ほど抜けています。
針はもともと毛で、毛が太く硬くなったものが針です。そのため、猫や犬のように毎日抜けるのが普通ですが、1日に40~50本ほどの抜け針があったら、環境変化によるストレスやダニの寄生によるダニ症などが考えられます。
他にも床材のアレルギーなどもあり、原因は飼育環境やハリネズミ自身の体質によって異なります。
ただし成長期に起こる針の抜け替わりであるクイリングはどのハリネズミにも起こりうる生理現象で、病気とは違います。
✔ハリネズミの針が抜ける原因
✔針を抜けにくくする対策法
✔針が多く抜けることで出る体への影響
この記事は上記の3点がわかる内容になっています。
ここで疑問を解決することで、またハリネズミの針がたくさん抜けてしまっても慌てずに対処できるはずです。針が抜けることで起こる病気や感染症の予防にもなります。
是非、最後まで読んで参考にしてください。
ハリネズミの抜け針は1日10~20本
ハリネズミには犬や猫の換毛期のように、定期的な抜け替わりの時期というものがありません。
毎日、約10~20本程度抜けるのが普通です。
ハリネズミの針は人の髪の毛のようにサイクルがあり、だいたい1年半で抜けて、再び新しい針が生えてきます。
いつも健康でそのサイクルが変わらない限り、1日の抜け針の本数に大きな違いはないはず。
しかし、何らかの原因で1日に40本も50本も抜けてしまうことがあります。
いつもより抜け針の本数が多いと、少し心配になってしまいますよね。
何が原因で抜け針が増えてしまったのか?
まずはそこの理由をチェックする必要があります。
ハリネズミの針が抜ける原因
ハリネズミの背中の針が抜け落ちるのはごく普通のことですが、針がすべて抜け落ちてしまったり、生まれつき針がまったくないハリネズミもいます。
そういうハリネズミはもちろん、めったにいるものではありません。
遺伝子の変異、過度のストレス、はたまた亜鉛不足などが考えられていますが、ハリネズミについてはまだ分からない部分が多く、はっきりとした原因が解明されていないのが現状です。
ここでは、いつもより抜け針が多くなってしまう原因を探っていきます。
針がすべて抜け落ちてしまう、など特殊な症状とは違い、考えられる原因はどの専門家の間でもだいたい一致しているようです。
ハリネズミの針が抜ける原因は主に次の6つです。
①ストレス
②ダニ症
③アレルギー
④かぶれ
⑤栄養不良
⑥成長期のクイリング
よくある原因を知っておくことで、いざ抜け針が多くなっても慌てず冷静に対処できるようになります。
原因①ストレス
ハリネズミは周りの環境の影響を受けやすい動物です。
飼育環境が変わる、ちょっとしたケージの配置換えを行う、ケージ内の温度が変化するなど、私たちにとっては何気ない変化でも、ハリネズミにとってはとても大きな変化に感じられることがあります。
急激に大きな変化が起これば、身体的にも精神的にもストレスが加わることになります。
ストレスは食欲不振になったり、病気の原因にもなったりします。
人間でいう円形脱毛症のように、一部だけ針が抜け落ちてしまうといった現象が見られることもあります。
その場合、まずは環境の変化をなるべく小さくし、余計なストレスを与えないようにすることが大切になります。
原因②ダニ症
ハリネズミはダニが寄生しやすく、激しいかゆみの他、抜け針が多くなったりかさぶたができたりします。
ハリネズミに寄生するダニはおもにヒゼンダニというダニで、猫や人にも寄生しているため、>日常的に接触することでダニが移りやすくなります。
体を掻くような仕草がよく見られたり、いつもより抜け針が多くなってきたら、ダニの寄生による疥癬(ダニ症)の可能性を考えた方がいいでしょう。
●住環境に高温多湿の場所を作らない
●ダニが寄生しやすい猫(特に外と内を出入りする猫)となるべく接触させない
などの配慮が大切になります。
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原因③アレルギー
ハリネズミのアレルギー問題で気をつけたいのは、ケージの下に敷く床材です。
床材にはさまざまなタイプがありますが、広葉樹の木材チップを使用した床材が最適とされています。
逆に針葉樹を使用した床材はNGです。
特に杉や松はアレルギーが出やすいため、注意が必要です。
広葉樹の木材チップでも、少しでもアレルギー症状が出るようであれば使用を中止した方がいいでしょう。
症状としては皮膚が赤くなったりフケが出たりします。
症状が悪化すれば、抜け針が多くなり、治療期間も長引くことになるので、なるべく早く対処することが必要になってきます。
そのため、床材選びは慎重に行うように心がけた方がいいでしょう。
どの木材チップでもアレルギー反応が出るようであれば、ペットシーツを使用することをおすすめします。
原因④かぶれ
「ハリネズミの排せつ物が針にくっついてなかなか取れない」
「食べカスが針の奥に挟まって嫌な臭いがしてきた」
そんな場合に、ハリネズミをお風呂に入れて綺麗に洗ってあげたくなるものです。
その時、人間用の石鹸やボディーソープを使うと洗浄成分が毛穴に残って、皮膚がかぶれてしまうことがあります。
人間用のものは洗浄力が強く、動物にとってはとても刺激が強いので、なるべくぬるま湯だけで洗うか、それでも汚れが落ちないようであれば、犬猫用の低刺激のシャンプーを使って洗ってあげてください。
皮膚の敏感な子だと、かぶれから抜け針につながり、そのまま放置していると症状が悪化して治りにくくなってしまいます。
原因⑤栄養不良
ハリネズミは偏食しやすい生き物です。
そのため、栄養が偏って特定の栄養素だけ不足すると、思わぬ病気を発症する原因になります。
ハリネズミの場合、カルシウムが不足しがちで骨が弱くなったり歯が抜けやすくなったりします。
また、針が抜けやすくなる原因の1つとしてカルシウム不足が指摘されています。
いつもあげている餌の中でも、特定のものしか食べない。
その場合、カルシウム不足に陥っていることが考えられるため、おやつとしてカルシウムの多いコオロギをあげてみてください。
カルシウムが十分に摂取できれば、抜け針の本数も少なくなるでしょう。
もし抜け針の本数が変わらず多ければ、原因はまた他にあると考えた方が良さそうです。
原因⑥成長期のクイリング
意外と見落としがちなのが、成長期に起こりやすいクイリングです。
ハリネズミの成長期は生後4か月~6か月頃で、唯一の「総抜け替わりの時期」と言っていいでしょう。
1日におよそ40~50本ほど抜け、全身の針が抜け替わることで、ハリネズミもだんだん大人になってきます。
これがクイリングで、いわば大人になるための一種の儀式。
このクイリングがあることを知らなければ、抜け針の量が異常に増えて、多くの飼い主さんはビックリされます。
成長期のクイリングで大量に針が抜けても、健康には何も問題はありません。
そのため、もし体調に変化が見られればクイリング以外の原因が考えられます。動物病院で診てもらうなど、早めに対処して症状を悪化させないように注意しましょう。
ハリネズミの抜け針対策のポイント
ハリネズミを飼育するに当たって、日頃からスキンシップをとって、体調の変化がないかどうかチェックすることがとても大事になってきます。
環境の変化や餌の変化など、いつもとは違うちょっとした変化がハリネズミの体や心に大きな変化をもたらすことがあります。
また、
- ケージ内を清潔に保つ
- 部屋の中を散歩させる際に異物を飲み込まないように注意する
- 栄養バランスを考えて餌を与える
- 感染症にかかっている動物とは決して接触させない
など、日常から配慮してあげてください。
毎日のちょっとした心がけが、ハリネズミに多い皮膚病を予防することになり、抜け針を少なくする最善の方法になってきます。
特効薬といったものはないので、日頃の心がけを大切にしていきましょう。
ハリネズミの針が抜けるとどんな影響が出る?
1日10本~20本程度であれば何の影響もありませんが、何らかの原因でそれ以上抜けるようであれば体への影響を心配する必要があります。
最も心配されるのが皮膚への影響です。
ハリネズミは皮膚が敏感で弱いため、針が抜けて皮膚が露出することで皮膚炎になってしまう危険があります。
皮膚炎はおもに細菌が感染することで発症します。細菌は不衛生な環境での飼育や、他の動物との接触で感染することがあるため、抜け針によって皮膚が露出しているのが分かったら、すぐに動物病院で治療してもらう必要があります。
また、真菌(カビ)に感染することでフケが出たりかさぶたができたりして針が余計に抜けやすくなる悪循環に陥ることになります。
抜け針の数をチェックして健康管理に役立てよう
ハリネズミの針は平均5000本、体格の大きなハリネズミだと7000本ほどあると言われています。
その針が1日10~20本ほど均等に抜ける分には何の問題はありませんが、体の一部分だけ針が抜け落ちている、1日の抜け針の本数がいつもより明らかに多いなど異常が見られたら、ハリネズミの体のどこかに変化が起きている証拠です。
日頃からハリネズミの体調はもちろん、どれくらいの抜け針があるかも注意して見ることで、体調の変化を把握することができます。
ハリネズミは自分の口で何かを教えてくれるわけではありません。
私たち飼い主が、ハリネズミたちのちょっとした変化に気づき、早めに対処することでハリネズミも長く健康に生活することができるはずです。