ハリネズミは皮膚の病気にかかりやすい動物です。
中でもダニが寄生する「ダニ症」の罹患率がとても高く、皮膚病の約4割を占めているというデータもあります。
飼主さんの中には、ハリネズミの顔がフケで白くなっていたり、針の間に小さなダニが動いているのを目にしたことのある人もいるはずです。
でも、
・どうやってダニ症の治療をすればいいの?
・何が原因でハリネズミにダニが寄生するの?
・ダニ症に効く効果的な対策法はあるの?
という疑問を持っている方が大半でしょう。
この記事では、
①どのような原因でダニが寄生するのか
②それに対する有効な対策法は何か
の2点に絞って解説していきます。
ダニが発生する原因を突き止めて万全のダニ対策をとることで、今まで悩んでいたダニ問題がスッキリと解決されるはずです。
ダニ症は放置しておくと重症化することもある病気です。
「そのうち治るはず」と根拠のない理屈を信じていても、ハリネズミの病気が良くなることはありません。
必ず【原因を突き止める】→【有効な対策をとる】の2つのステップを踏んで、ハリネズミの病気を治していきましょう!
ハリネズミもダニに感染する?
ダニの種類は全世界で4万種とも5万種とも言われています。
部屋の中にいるチリダニやツメダニ、食品の中にいるコナダニ、植物や動物につくダニもいれば、土の中や水の中で生息するダニもいます。
屋内、屋外を問わず多種多様のダニがいるため、野生のハリネズミにも屋内で飼育されているハリネズミにもダニが寄生する場合があります。
ダニは年齢に関係なく寄生する
あまり体力のない子供のハリネズミにダニがつきやすいと言われていますが、それはあくまで統計上の話です。
体力や免疫力のあるハリネズミにもダニは寄生することがあります。
いくらご飯をたくさん食べ、運動もたくさんする元気な子でも、条件さえ揃えばダニがついてしまいます。
ダニは人から感染することもある
ハリネズミにつきやすいダニはヒゼンダニという種類です。
このダニは人から人へ感染するダニですが、人からハリネズミに感染することもあります。
またヒゼンダニに感染した疥癬の人が使用したタオルなどにもこのダニがつくことがあり、ハリネズミが触れるとダニがうつり寄生してしまう可能性があります。
ハリネズミにダニが寄生する5つの原因
それでは具体的に、どんなことがきっかけでハリネズミにダニが寄生するのでしょうか?
飼育条件はそれぞれの家庭で異なりますので、ダニが寄生する原因はさまざまです。
よく見られる原因は主に次の5つ。
1つ1つ確認していきましょう。
①室内が高温多湿
飼育ケージを置いている室内が高温多湿の場合、ダニが発生しやすくハリネズミにも寄生することがあります。
雨のつづく梅雨時では除湿や換気をこまめに行わないと、すぐに湿度が上昇してダニの住みやすい環境になります。
特にあまり使用していない部屋にケージを置いている場合、温度・湿度管理を忘れがちになります。
ダニは条件さえ揃えばすぐに発生してしまいますので、「いつの間にかダニが出ていた」ということがよくあります。
部屋の中で発生するチリダニなどはハリネズミに寄生することは少ないですが、ゼロではありませんので注意するにこしたことはないでしょう。
②ミルワームなどの餌に寄生している
ハリネズミは高タンパク高脂肪のミルワームが大好きなので、おやつとしてあげている飼い主さんもたくさんいます。
乾燥タイプや生タイプ、それに活きたままの活き餌タイプのミルワームをあげている方も多いはず。
ここで問題になるのが活きたままのミルワームです。
爬虫類専門店などで購入してきた時点でダニに感染している可能性もありますが、活きたミルワームを保管している間にダニが発生する場合があります。
ミルワームにふすまやパン粉などを与えて大きくさせ、ハリネズミにおやつとしてあげる時に、ミルワームについていたダニがハリネズミについて寄生してしまいます。
ミルワームが真菌に感染することもあり、それが原因で死んでしまうこともあるため、ミルワームが死んでいたら念のために同じケース内で保管していたミルワームは、餌としてあげないほうが安全です。
③よく屋外で遊ばせる
ダニは屋内だけでなく、屋外にもたくさんいます。
小さな虫や植物にもついているため、ハリネズミを屋外に放して遊ばせている間にダニをもらってしまうことがあります。
庭くらいなら大丈夫だろうと思っていても、その庭の植物や虫にダニがついていたらハリネズミにも寄生する危険性が高くなります。
④猫や犬など他の動物と接触している
もともと犬や猫などの動物に寄生しやすい「マダニ」というダニは、ハリネズミには寄生しないと言われています。
しかし、ハリネズミに寄生しやすいヒゼンダニは、犬や猫、牛、馬、タヌキなどにも寄生します。
これらの動物と接触したあと、ハリネズミに触るとダニがうつってしまうことがあります。
特に飼い猫が頻繁に外出すれば、それだけダニをもらってしまう可能性が高くなります。
ハリネズミがその猫と同じ空間で過ごしていれば、必然的にダニが寄生してしまうリスクも高まります。
⑤ペットショップやブリーダーで感染していた
自宅で迎えてすぐに、頻繁に体を掻いていたり顔が粉を吹いたように白くなっている場合、購入したペットショップやブリーダーのもとで、すでにダニがついて寄生していた可能性があります。
ペットショップやブリーダーではハリネズミの赤ちゃんは、同じケージやケースの中で母親と一緒に飼われています。
母親にダニが寄生していればその子たちにもダニがつき、そのまま購入して自宅に迎え入れてしまうケースがよくあります。
ハリネズミのダニ症の予防対策
それではハリネズミのダニ症に対して、どのような予防対策をしたらいいのでしょうか?
ポイントを押さえておくことで、ダニが寄生する要因を遠ざけることができます。
100%防ぐことは難しいですが、よく起こる原因を避ければダニが寄生するリスクもグッと低くなります。
おすすめする予防対策法は以下の6つです。
1.砂場を用意する
2.お風呂に入れる
3.床材は毎日交換する
4.屋外に放さない
5.人からの感染に注意する
6.防ダニスプレーを利用する
どれも家で簡単にできる方法ばかりです。
ダニは水洗いだけでは完全に取れることはありませんので、ぜひ参考にして実践してみてください。
予防策①砂場を用意する
ハリネズミに砂場を用意してあげるメリットは3つあります。
・体を清潔にする
・ストレス解消
・体についたダニや寄生虫を落とす
この記事を読んでいる方に一番注目して頂きたいのが3つ目の、「体についた寄生虫やダニを落とす」という点。
すでに体にダニがついてしまっても、砂場で砂に体をこすりつけることでついたダニを落とすだけでなく、ダニが体中に広がるのを防ぐ役割もあります。
ダニが蔓延すれば、体中の皮膚がボロボロと剥がれ落ちて次第に衰弱してしまいます。
◎寄生したダニを落とす
◎ダニの蔓延を予防する
という点で、砂場を用意するのは有効な手段の1つと言ってもいいでしょう。
まだケージ内に砂場がなかったら砂と容器を用意して、万全なダニ対策をとることをおすすめします。
予防策②お風呂に入れる
水浴びやシャンプーをすることで体についたダニを落とすことはできます。
注意したいのは、シャンプーをしても完全に落とせるわけではないということ。
その点をしっかりと理解して、ハリネズミに水浴びやシャンプーをする必要があります。
まずお風呂に入れる時は、浅いおけなどにぬるま湯をはって体をつけてください。
初めて入浴させる時は、いきなり入れるのではなくお湯を体にかけて慣れさせましょう。
ハリネズミは水が苦手な動物です。
どうしても拒否反応を示す場合は、無理して入浴させないようにしましょう。
※人間用のシャンプーはNG
シャンプーを使うのであれば人間用のものはNGです。
必ず、動物用の刺激の少ないシャンプーを使用しましょう。
シャンプーを直接体につけるのではなく、スポンジやブラシにつけて泡立て、優しくこするように洗ってください。
シャンプーが終わったら泡が残らないように十分にすすぎ、タオルでしっかりと水分を落としましょう。
泡が残っていたり水滴がついたままでいると、肌トラブルの原因になったり体温を下げてしまうことになるため、入浴させる際は注意してください。
予防策③床材は毎日交換する
通常、ウッドチップやコーンリター、くるみリターを使った床材の総入れ替えは1週間に1度くらいの頻度で十分です。
でもダニが寄生していたりダニが発生している疑いがある場合は、毎日交換するように心がけましょう。
忙しくて時間的余裕がない場合は、数日に1回などご自分の生活ペースに合わせて床材の入れ替えを行ってください。
そうすることで、寄生するダニが増えることもなくなります。
ダニ症は悪化すると、時に命の危険にさらされることもある怖い病気でもあります。
またハリネズミに寄生したダニが人にうつることもあるので、ダニがそれ以上、蔓延しないような防御策をとることも大切になってきます。
予防策④屋外に放さない
屋外にハリネズミを放して遊ばせたり散歩をさせるのは、極力避ける方が望ましいでしょう。
小さな虫や植物にもダニがついている場合があります。
屋外に放すことでダニをもらってしまい、そのダニが自分の体だけでなくケージ内にひそんだり、部屋の中の絨毯やカーペットにもついてしまうことがあるので注意する必要があります。
また屋外に放していなくても、野良猫と接触したり室内と屋外を何度も出入りする飼い猫や飼い犬に接触したりすれば、ダニがうつることがあります。
できる限り犬や猫との接触を控えることも、ダニ症予防の有効な手段の1つになります。
予防策⑤人からの感染に注意する
ハリネズミに寄生しやすいヒゼンダニは、基本的に人から人に感染するダニです。
主に性的な接触による感染が多いとされているので、ハリネズミにダニを寄生させないためには飼い主さんの心がけも大切になってきます。
もしご自分やご家族がヒゼンダニ(疥癬)に感染している場合は、病院で薬を処方してもらい、完治するまでハリネズミに接触しないように注意しましょう。
自分で完治したと判断してもまだダニが残っている場合もあります。
必ず処方された薬をすべて飲み切り、医師から完治の診断があるまで治療を続けるようにしてください。
予防策⑥防ダニスプレーを利用する
最後に紹介する予防対策法が防ダニスプレーを利用することです。
防ダニスプレーには防虫効果のある成分がたっぷり含まれているため、ダニのいる場所にスプレーをすることでダニの発生を抑えることができます。
ただし、このスプレー1本ですべてのダニを退治できるわけではありません。
大事なのが動物病院でのダニ症の治療です。
上記で紹介した予防対策法を毎日の生活の中で実践した上で、病院で薬を処方してもらったり、注射などの治療を行うことで初めてダニのいない生活を取り戻すことができます。
【自宅での予防対策】+【病院での治療】
がダニ症を根治する最速の近道になりますからね。
自宅で出来ることには限界があることをしっかりと認識しておきましょう。
さて、それでは次にちょっと気になる防ダニスプレーについて解説していきます。
防ダニスプレーのことならもう知っている、又は今は知る必要がないという方は読まずに早速、上記の予防対策法を実践してみてください。
防ダニスプレーについて少しでも興味がある、防ダニスプレーについて今すぐ知りたいという方は、もう少しお付き合いくださいね。
この記事を最後まで読み終えた頃にはきっと試してみたくなるはずですよ。
それでは詳しく説明していきましょう!
ハリネズミのダニ対策に防ダニスプレーをおすすめする3つの理由
私たちがおすすめする防ダニスプレーは、飼育用品を専門に製造販売している会社ジクラの防ダニスプレーです。
防ダニ効果のある商品として防ダニシートが数多く販売されていますが、ハリネズミのケージ内で使用すると、齧って破いてしまう危険性があります。
使われている成分に有害なものがなくても、そのシーツを食べてしまうと消化されずにお腹の中に残ってしまうため、防ダニシートはあまりおすすめできません。
そのため、安全性(そして効果面でも)からいうと、断然スプレータイプを選ぶべきです。
おすすめする理由は次の3点。
■金鳥の蚊取り線香にも使用されている防虫菊を使用している
■唐辛子の辛味成分カプサイシンにも防ダニ効果がある
■ダニのいる場所にスポットで効果的にスプレーできる
順番に見ていきましょう。
金鳥の蚊取り線香にも使用されている防虫菊を使用
ジクラの防ダニスプレーには、防虫用品で有名な金鳥の蚊取り線香でも使用されている「防虫菊」の成分が多く含まれています。
防虫菊(和名:シロバナムシヨケギク)はキク科の多年草で、古くから殺虫効果があることが知られていました。
金鳥の創業者はこの花の成分を使って、世界初の蚊取り線香を発明。
蚊だけでなくダニにも効果があることから、ジクラではこの防虫菊を使用した防ダニスプレーを製造し、ダニに悩むハリネズミの健康にひと役買っているというわけです。
蚊り線香の防虫効果はすでに実証済み。
それと同じ成分を使用しているので、同等の効果が見込めるのは当然と言えば当然かもしれません。
唐辛子の辛味成分カプサイシンにも防ダニ効果
ジクラの防ダニスプレーには防虫菊の他に、唐辛子の辛味成分であるカプサイシンも含まれています。
唐辛子はご存知のように世界中でさまざまな料理で使用されていますが、実は防虫としても古くから利用されています。
また、抗菌効果もあり日本ではお米の保存やひな人形の保存にも利用されてきました。
実は唐辛子の辛味成分は実や種にはなく、胎座(たいざ)と呼ばれる種のついたワタの部分に多く含まれています。
その辛味は実の8倍もあり、その同じ辛味成分がジクラの防ダニスプレーには含まれているため、虫除けに大きな効果を発揮してくれるわけです。
ダニのいる場所にスポットで効果的にスプレーできる
そして3つ目のおすすめ理由が、ダニのいる場所にピンポイントでスプレーできること。
防ダニシートを使用しようとすると、ダニのいる場所の数だけシートを用意しないといけません。
用意できれば置いておくだけでダニをおびき寄せることはできますが、コストも手間もかかります。
しかも、ハリネズミ専用の防ダニシートという商品はないため、たとえ使用してもハリネズミに寄生するダニに効果があるかどうかは、はっきりしません
その点、防ダニスプレーであればダニのいる場所にスポットでスプレーして攻撃できるという、大きなメリットがあります。
しかも、当然ですがハリネズミに寄生しやすいヒゼンダニにも大きな効果を発揮するので、スプレーを選ばない理由はどこにもありませんよね。
ジクラの防ダニスプレーのおさらい
まずハリネズミのダニ対策として、
・砂場を用意する
・お風呂に入れる
・床材は毎日交換する
・屋外に放さない
・人からの感染に注意する
の5つの予防対策法がありました。
この5つはどちらかというと、「ダニを防御する」という点にフォーカスした対策法です。
一方で、最後の予防対策法である防ダニスプレーを利用する方法は、「ダニを攻撃する」ことにフォーカスした対策法です。
しかもその攻撃は防虫に強い効果のある
・防虫菊
・カプサイシン
という古くから使用されている、すでに効果が実証されている成分がふんだんに含まれたスプレーのため、これ以上の防ダニ効果のある商品は今のところ見つかっていません。
この、ダニに対する
【防御+攻撃】
を毎日実践することで、ダニの発生、ダニの繁殖、そしてハリネズミへのダニの寄生に対して大きな効果を発揮するはずです。
これらのダニに対する防御策と攻撃策で、大事なハリネズミの健康を守っていきましょう。
ダニ症を予防して健康管理を
ハリネズミの病気といえば、歯周病と腫瘍、そして皮膚病がとても有名ですが、皮膚病の中でもダニ症は罹患率が高いことでも知られています。
しかし、ダニ症がどれほど危険な病気なのか、そのそもどんな症状なのかを知らない方が意外とたくさんいます。
知識も情報もないためにそのまま放置し、危うく命を落としそうになるまで重症化してしまうケースも少なくありません。
少しでも知識があれば、「何かおかしい」と感じた時にすぐに行動に移すことができます。
命の危険さえあるこのダニ症について、もう一度確認し、ハリネズミがいつまでも健康で長生きできるようにできるだけのことをしてあげたいものです。