
ハリネズミを飼ってみたい!という人が、ここ数年、急速に多くなっています。
親しみやすい丸い体型につぶらな黒い目、つんと伸びた小さな鼻、それに小さな手足。
仕草もとても可愛らしく、ペットショップでもよく見かけるようになりましたよね。
「ハリネズミカフェ」も登場するようになり、ハリネズミに触れる機会がとても多くなってきました。
でも、
「ハリネズミってどうやって飼えばいいの?」
「ハリネズミって飼育しやすい?」
「ハリネズミを飼う費用はいくらくらいなの?」
などなど、まだ分からないことだらけという方もいるはずです。
そんな「ハリネズミの飼い方が分からないから教えて!」という方のために、飼う前に知っておいて欲しいことやハリネズミの種類や値段、飼育に必要なケージなどの基本情報満載でお届けします!
ハリネズミの飼い方の基本

よくハリネズミは飼育が難しいと言われます。
でもそれは最初だけで、飼育の“コツ”さえつかめれば多少の苦労はあるものの、そんなに困難もなくハリネズミとの楽しい生活を送ることができます。
ここではハリネズミの飼い方で押さえておきたいポイントをまとめています。
ハリネズミを飼う上で用意しておかないといけない飼育グッズは何か、餌のあげ方や掃除の仕方、その他、飼育するに当たってハリネズミならではの注意しないといけない点など、どれも基本的なことばかりです。
しっかりとポイントを押さえておけば、初心者でも上手に飼えるようになります!
必要な飼育グッズ8種
ハリネズミを飼うのに必要なものは次の通りです。
どの飼育グッズも取り揃えておきたいものばかりですので、チェックしておきましょう。
ケージ
ハリネズミの体長はおよそ15cm~20cmほどです。
そのため、ケージは床面積が60cm~90cmほどのタイプが理想的です。
ハリネズミは縦の移動より横の移動が多いので、高さのあるケージはあまり必要ありません。
飼育する場所にもよりますが、なるべく床面積の広いケージを選んであげましょう。
ステンレス製、金属製<、アクリル製など様々なタイプのケージがあります。
それぞれメリット、デメリットがありますので、費用や掃除のしやすさなども考慮に入れた上で最も適したケージを選ぶようにしましょう。
床材

ケージの下に敷く床材には様々なタイプのものがあります。
ウッドチップやコーンリター、クルミリターなど自然の素材のものから、ペットシーツや新聞紙などを利用している飼い主さんもいます。
ハリネズミはアレルギーにも敏感ですので、その子に合ったストレスを与えない床材を選んであげましょう。
回し車(ホイール)
ハリネズミは回し車が大好きです。
野生のハリネズミは1日に5kmほども走るので、飼育する場合も運動不足にならないように是非、回し車も用意しておいてください。
大きさや素材はまちまちで、ケージの大きさやハリネズミの体格に合わせて選びましょう。
静音性の高い回し車もあり、音が気になる方にはおすすめです。
隠れ家(寝床)

ハリネズミはモグラの仲間ということもあって、薄暗くて狭い場所が好きな動物です。
そのため、ケージの中に隠れ家(あるいは寝床)を用意してあげると安心します。
寝袋タイプもありハリネズミにとっては格好の隠れ場所になりますが、布製で汚れやすくなったりするため、扱いやすいものを選ぶといいでしょう。
砂場
ケージ内に砂場を置いておくことで、体をこすりつけて自分で汚れを落としたりします。
ノミやダニなど皮膚のトラブルを抱えやすいので、強い痒みを伴ったり皮膚病にかかったりすることがあります。
ハリネズミの中にはシャンプーが嫌いな子もいるので、砂場を設置しておくことで体を清潔に保っておくことができます。
また、トイレとして使用するハリネズミもいるので、排泄物があちこちに散乱しないというメリットもあります。
餌入れと給水ボトル

餌入れのお皿はなるべく小さなものがベストです。
大きいと入っている分量だけ一気に食べてしまうことがあり、肥満の原因になります。
また食べ残しがあると腐ってしまうので、「小さい」ものでこぼれない程度の「浅いお皿」を選びましょう。
お水もお皿に入れてあげることはできますが、床材が入ってしまうことがあります。
衛生面を考えると給水ボトルを設置してあげる方がいいでしょう。
温度計
ハリネズミを飼っていて気をつけないといけないのが、温度です。
温度にはとても敏感な動物で、暑すぎても寒すぎてもいけません。
置いてあるケージがハリネズミにとって常に最適な温度(約25~29℃くらい)になっているか、確認する必要があります。
エアコンで温度設定していても、部屋の隅などに置いてあると必ずしも設定温度にならない場合があります。
温度計をケージに設置して、適温の範囲内にあるかどうか気をつけるようにしましょう。
ペットヒーター
ハリネズミは温暖な地域で育つ動物ですので、特に寒さには弱いことが知られています。
20℃を下回ると動きが鈍くなってくることがあります。もっと下がってくると、冬眠してしまいます。
冬眠すると内臓機能が低下し、目を覚ましても衰弱したままになってしまいますので、ペットヒーターを設置してしっかりと寒さ対策をしてあげましょう。
初期費用は平均どれくらい?

以上のような飼育グッズはどれもおおむね、1,000円~3,000円ほどで買うことができます。
餌入れや砂場の砂などは数百円ほどです。
ただし、ケージは値段の幅が大きく、安くて3,000円、高いものだと50,000円以上するものもあります。
これらの事情を考慮すると、トータルの初期費用はだいたい15,000円くらいから70,000円くらいまでになります。
揃えるものによってかかる費用にだいぶ差が出てきますので、お財布と相談して賢く揃えていきましょう。
毎月かかる費用はどれくらい?
ハリネズミの飼育に毎月必要なものは、床材とエサくらいです。
床材であれば毎月1,000円くらい、エサも1,500~2,000円程度とそれほど多くの費用はかかりません。
床材は新聞紙などでも代用可能なので工夫次第で節約できます。
回し車や寝床は、使っているうちに汚れてきたり壊れてきたりしてしまいますが、マメに掃除してあげたり丈夫なものを買ってあげることで何年も持ったりします。
ペットヒーターの電気代も気になるところですよね。
1カ月の電気代の目安は次の通りです。
■ペットヒーターの電気代
●8wの場合 → 1ヶ月約100円
●20wの場合 → 1ヶ月約260円
■赤外線ヒーターの電気代
●Mサイズ → 1ヶ月約500円
●Lサイズ → 1ヶ月約1,200円
トータルで1ヶ月3,000~4,000円ほどなので、人間の数日分の食事代ほどと考えると決して高いとは言えません。
これにおやつ代やおもちゃ代を加えればもう少し費用はかさんでしまいますが、ハリネズミが快適に幸せに生活してくれるなら飼い主さんのほうも楽しく共同生活を送れますね。
餌は「高タンパク低脂肪」がベスト

ペット全般に言えることですが、ハリネズミを飼っていて気をつけたいのが餌のあげ方です。
基本的にはハリネズミ専用フードをあげていれば、大きな問題はありません。
ただし、専用フードといっても栄養成分や栄養素の比率はまちまちです。
なるべく選んでおきたいのが、
■高タンパク
■低脂肪
の餌です。
子供のハリネズミの場合、成長のために脂肪分のある餌は必要ですが、高齢のハリネズミになってくると脂肪分の摂りすぎは、即肥満につながりますので注意が必要です。
ハリネズミが好きな餌として、他にミルワームやコオロギなどの虫があります。
これらの幼虫や昆虫は主食としてではなく、おやつとしてあげるようにしましょう。
特にミルワームは脂質が多いため、あげすぎには注意してください。
トイレは覚えるの?
ハリネズミはあまりトイレを覚えてくれない子が多いようです。
砂場を置いておくことで、毎回砂場でトイレをする子もいます。
しかし、多くのハリネズミは隠れ家や寝床から離れた場所でしたり、夜中に回し車で回りながら排泄することもあります。
そのため、朝起きたら糞がケージの外にまで飛んでいた、ということも往々にして起こります。
トイレをすると色が変わる床材もあり、掃除しやすいという利点があります。
ケージの掃除はどうするの?
排泄物は毎日掃除するようにしましょう。
そのまま放置しておくと不衛生になるのはもちろん、ハリネズミの体について皮膚病や様々な病気の原因にもなります。
排泄物の臭いはそれほどきつくはありませんが、掃除をしないと次第に嫌な臭いが出てきます。
また、回し車が汚れることもあるので、汚れたらすぐに洗うようにしてください。
ただし、ケージ自体の丸洗いは週1回、あるいは月に数回程度で大丈夫でしょう。
ケージを洗うのは、寝ている日中ではなく起きている時にしましょう。
眠っているときに洗うと、不眠やストレスの原因になってしまいます。
ハリネズミを飼う環境について

ハリネズミは繊細な動物のため、ストレスにちょっと弱いところがあります。
体調が環境に左右されやすいため、飼育する上でハリネズミの習性を理解し、ハリネズミにあった環境を整えてあげる必要があります。
基本はケージの中で飼育
ハリネズミは、基本的にケージの中で飼うのが無難です。小さくて臆病な性格のため、大きな物音や足音などにびっくりして、狭い場所へ入り込んでしまうことがあります。
また、猫や犬など他の動物を飼っている場合は怪我をする恐れもあるため、尚更ケージの中で飼う方がいいでしょう。
ただし、飼い主さんがちゃんと見守っていれば、部屋の中に放してお散歩させることもできます。
他の動物と相性が良ければ、一緒に遊ばせても何の問題もありません。
でもいくつか注意点があります。
ハリネズミを飼う上で、基本的なことなので是非、確認しておいてくださいね。
①部屋の掃除はコマメに | ハリネズミはモグラの仲間なので基本的に、狭い場所が大好きです。 冷蔵庫の裏やタンスとタンスの隙間に入り込んでしまうこともあります。 しかも、普段掃除の行き届かない隙間に入り込んでゴミを食べてしまうと、消化されずに腸閉塞になってしまうことも考えられます。 仕事をしている間など長時間家をあけるときに放し飼いをする場合は、小さい物やゴミが落ちていないように入念に掃除をしたり、入り込んだら中々探し出せないような小さな隙間を作らないなどの対策が必要になります。 |
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②トイレを覚えるのは得意ではない | ハリネズミの場合、イヌやネコのようにトイレを覚えるのがそれほど得意ではありません。 もちろんちゃんとトイレを覚えて、毎回砂場におしっこやうんちができる子もいますが、放し飼いをすると部屋中に排泄してしまう子もいるので、お掃除が大変かもしれません。 |
③抜けた針には注意 | ハリネズミの針は抜けることがあるので、放し飼いをした後は抜けた針が床に落ちていないかチェックしておく必要があります。 もし針を踏んでしまったら、とても痛い思いをすることになります。 小さいお子さんがいる家庭であれば、なお更、針には注意した方がいいでしょう。 |
一人暮らしでも飼育は可能

ハリネズミはひとり暮らしでも、比較的飼いやすい動物です。
主な理由は次の2つです。
「夜行性で日中は寝ているため、仕事で家を空けていても大丈夫」
「餌は夜に1~2回あげるだけでOK」
他にも一人暮らしでも飼いやすい理由はいくつかあります。
- 犬のように散歩する必要がない
- 体が小さいため、飼うのに広い場所を必要としない
- 基本的に鳴かない(鳴いても声が小さいため隣近所に聞こえない)
- 臭いが少なく、あまり嫌な臭いがこもらない
このようにハリネズミはあまり手間がかからず、ひとり暮らしでも飼いやすい動物と言っていいでしょう。
アパートやマンションでも飼えるのか気になる方もいるかもしれませんが、ペット不可の賃貸マンションではどんな小さな動物でも原則禁止です。
ただし、ヨツユビハリネズミのように大人になっても15cmか20cmくらいと小さく、鳴き声も近隣に響かないような小動物であればマンションの大家さんに掛け合ってみるのも1つの手かもしれません。
鳴き声が聞こえない、臭くならない、近所に迷惑をかけないなど誠意をもってお願いすればOKが出るかもしれませんね。
温度管理はこまめに
ハリネズミは暑さや寒さがとても苦手な動物です。
そのため温度管理がとても大切になります。
ハリネズミが好む温度は25~29℃くらい、湿度は40~70%くらいです。
夏場は扇風機やクーラーなどで暑すぎないように、そして冬場は寒くならないようにヒーターなどを使って快適な環境を用意してあげてください。
ただし、寒すぎないようにと過剰に防寒対策をしてしまうと、ケージ内が暑くなりすぎてしまうことがあります。
そうするとご飯も傷みやすくなり、体調をこわしてしまうので、温度管理には十分気を使ってあげてください。
ハリネズミの種類と値段
ハリネズミ(ヨツユビハリネズミ)には様々な種類があります。
まだどんな種類にするか決めてない、という方は参考にしてください。
価格や飼い方にも違いがあるため、事前にチェックしておきましょう。
ソルト&ペッパー
出典:ねっと動物園
最もスタンダードなカラーです。
白と黒の針に黒い顔、黒い鼻、お腹の毛は白と、白と黒が配色された種類です。
相場価格は15,000円~20,000円ほど。
シナモン
出典:ねっと動物園
クリーム色と茶色の針、黒い目にピンク色の鼻、白いお腹で、とても人気のある種類です。
相場価格は20,000円~25,000円ほど。
アプリコット
出典:ねっと動物園
白い針にピンク色の鼻、赤い目、白い毛が特徴です。
相場価格は15,000円~30,000円ほど。
シニコット
出典:ねっと動物園
シナモンとカラーが似ていますが、目の色が赤いのが特徴です。
相場価格は15,000円~25,000円ほど。
アルビノ
出典:ねっと動物園
アルビノは生まれつき色素がないため、白い針と毛に覆われています。
病気になりやすい傾向があるため、飼育には注意が必要です。
相場価格は15,000円~30,000円ほど。
ホワイト
出典:ねっと動物園
白い針に白い毛、黒い目に黒い鼻が特徴です。
アルビノと同じく、病気になりやすく、体が弱いと言われています。
相場価格は20,000円~25,000円ほど。
パイド(ピント)
出典:ねっと動物園
パイドは珍しいカラーのため、ペットショップでもなかなか見かけることがありません。
黒い針と白い針のバランスが均一ではなく、まだら模様になっています。
相場価格は少し高めで25,000円~40,000円ほど。
ハリネズミをペットショップで買う時のポイント
一口にハリネズミ(ヨツユビハリネズミ)といっても、種類はもちろん、性別も性格も大きさも全然違います。
飼い始めてから後悔しないために、チェックしておきたいポイントをまとめてみました。是非、参考にしてみてください。
外国産より国産が◎
ハリネズミに限らず、外国で繁殖、飼育された動物の中には、劣悪な環境を強いられている場合があります。
もちろん一概にすべてそうだとは言えませんが、あまり良くない環境で育てられた動物の場合、病気を持っていたり怪我をしていたりすることもあります。
また、輸出される際のストレスが原因で免疫が落ちて病気になりやすくなったりもします。
一方で、日本国内で繁殖されているハリネズミの場合は比較的小規模で繁殖されているケースが多く、良好な環境で成育されているので、病気もせずに元気に育っていることが多いようです。
そういった点を考えると、日本で繁殖された子を選ぶのがベストかもしれません。
ただし、あくまで大切なのは自分の眼で見て触れて、体調を確かめることです。外国産、国産に強くこだわりすぎず、あくまで選ぶ際の参考にしてください。
オスにするかメスにするか
ハリネズミは性別によって性質など大きな差はありません。
あくまで個体によって違いがあるだけです。
飼い始めるのに適当な年齢

ハリネズミの離乳する時期はおおむね生後6週~8週前後と言われています。
小さいときから飼った方が慣れやすい、と生後6週未満の子がペットショップにいることもありますが離乳前の小さい子はオススメできません。
十分に母乳を与えられていないハリネズミは、栄養や免疫が不十分で成育不良だったり病気になりやすかったりするためです。
そのため、選ぶ際は最低でも生後6週をすぎた子にしましょう(生後2~3ヶ月が理想)。
慣れるか慣れないかは個体によるので、小さいときに飼えばすぐ慣れる、というものではないことを知っておきましょう。
健康状態のチェック
ハリネズミを選ぶ際には、健康状態も大事なチェックポイントです。
- 手に持ったときにずっしりとした重さがあるか
- 手や足を怪我していないか
- 目やにはついていないか
- 鼻水は出ていないか
- 耳の中は汚れていないか
- 肛門周りは汚れていないか
- 下痢をしていないか
この他にも、ハリネズミは夜行性なので、夕方以降に見て元気に遊んでいるか、食欲があるかどうかもチェックしましょう。
少しでも気になる点があれば、ペットショップの店員の方に遠慮なく聞いてみてください。普段の様子なども聞いて、問題がないか納得したうえで自宅に迎える準備をするのがベストです。
まとめ
初めてハリネズミを自宅に迎え入れる時は、不安がつきものです。
どのような環境で飼えばいいのか、餌はどんなものをあげればいいのか、揃えておいた方が良い飼育グッズは?毎月どれくらいお金がかかるの?…
など分からないことがたくさんあります。
まずはハリネズミを飼育する上で基礎的な知識を身につけておくことで、不安の多くが解消されます。不安になるのはただ知らないから。
多くの飼い主さんが知っている基本的な知識を知っておくことで、今後飼っていて困ったときの役に立つはずです。
すでに知っている方も、もう一度確認して、飼う上での参考にしてください。